今回は阪奈中央看護専門学校さんを訪問しました。1967年(昭和42)に奈良側より生駒山を眺めることのできる美しい田原の里に「阪奈サナトリウム」を開設、1978年(昭和53)には、生駒市内に「阪奈中央病院」を開設しました。病院にとって、またこれからの社会にとって看護師・理学療法士・作業療法士の育成は重要な責務であると考え、「栗岡学園」は病院周辺地に看護学校・リハビリテーション専門学校を開設するに至りました。卒業した多くの看護師・理学療法士・作業療法士はそれぞれの医療機関で活躍をしています。
松山:本日は阪奈中央看護専門学校さんに来ております。副校長の青木先生と教務主任の森本先生に話を伺いたいと思います。宜しくお願い致します。
まず早速なのですが、学校の特色を教えて頂けますか。
森本先生:はい。こちらは3年制の看護専門学校になっておりまして、栗岡学園の理事長先生の指針のもと「心温まる看護」の提供ができる人材育成を目指しております。したがって、学業だけではなく、心の面も成長できる指導を心掛けているのが当校の特色です。
松山:分かりました。ありがとうございます。看護師を目指す受験生は、大学の看護学科か看護専門学校かで悩まれる方も多いですが、大学と専門学校の違い、専門学校の良さについて教えて頂けますか。
森本先生:はい。看護師という資格に差はありません。専門学校の良さは、やはり実技の習得がメインになりますので、卒業してすぐに実践能力がある看護師の育成を目指しているところだと思います。
また大学は生徒数が80名~100名という大規模な学校が主流なのに対して、当校のような専門学校は1教室30名~40名規模です。専門学校だと授業していても「この子調子悪そうだな?」とか学生のメンタルの不調に気付きやすい。
当校は特に臨床心理士の先生も週1回来ておりますので、学生のメンタル面でのケアもしやすいと思っております。
松山:分かりました。専門学校では、少人数教室ならではのフォローアップがしやすいということですね。大学卒と専門学校卒でのキャリアアップの違いはありますか。
森本先生:やる気さえあれば専門学校でもどんどんキャリアアップしていくことはできます。
認定看護師や専門看護師に関しても、大学卒、専門学校卒に関わらず平等に機会が与えられておりますので、そういう面でもあまり差はないと思います。
松山:はい。次は、副校長先生に看護師の仕事のやりがいについて伺いたいです。
:看護師は気持ちが病んでいる人や体の不調の人たちの手助けをする仕事です。
学校で勉強していくうちに、患者さんの気持ちとか分かりますし、また卒業しましたら、自分の人生の中で育児とか家族の病気とか、そういったものにも関わることができる、直接的にサポートできるという面もあり、とても良い仕事だと思います。
松山:貴校では学費のサポート体制はありますか。
森本先生:関連施設の病院から奨学金が出ております。その学生の地元の病院で奨学金を借りている方もいらっしゃいます。
松山:では様々なところから奨学金をうけていらっしゃるという形ですね。社会人の学生さんも多く在籍されていらっしゃいますか。
森本先生:学年によっても異なりますが、社会人の方はだいたい25%くらいかと思います。年々社会人の方は増えているかと思います。シングルマザーの方も多いですし、お子さんお持ちの方も多くいらっしゃいます。
学校の隣に「こぐま園」という保育園もありますので、そこに子供を預けて学校に来るという方も多いです。病児保育も対応しておりますので、それが良いということで当校を希望される方もいらっしゃいます。
松山:社会人の方の年齢構成はどうでしょうか。
森本先生:20代後半~30代の方が多いです。30代後半の方もいらっしゃいます。
松山:試験では学科試験と面接試験があると思うのですが、面接試験も重視していますか。
森本先生:看護師にとっては、コミュニケーション能力が非常に重要です。面接という場で「言葉にすることができない」「自分の思っていることが言えない」ということは、実習していく上でマイナス面もありますので、そういった部分を面接では見ています。
ですので、面接も点数化して総合得点で合否を判断しています。
松山:面接では相手の考えを聞き取る、理解する部分も重要ですか。
森本先生:こちらの質問を聞いてそれに答えてくれているか、が重要です。
例えば、現役生はよく高校で受験番号と高校名を言って座りなさいと指導されています。
こちらが受験番号と名前だけを言ってくださいと伝えても、高校で指導されている通り高校名も自分で勝手に追加して言っている子は人の話を聞いていないのではないかと見てしまいます。
そういう部分でも私たちはきちんと質問を聞いている子かどうかということを判断しています。
松山:最後になるのですが、看護師になる上での心構え、どういった受験生に来て欲しいかについてお伺いしたいです。
森本先生:人の心を思いやる心を持っている人、社会のルールを身に着けている人、責任感がある人、そういった方に来て欲しいと思います。
松山:分かりました。社会のルールというのはどういったことでしょうか。
森本先生:学校においては、レポートを提出する時間や挨拶をしっかりすることなど、そういったことです。挨拶は基本的ですがやはり重要です。教員自身からも積極的に挨拶を徹底するようにしています。
森本先生:看護師になろうと思ったきっかけはどんなきっかけでも良いと思うんです。安定した仕事だからとか小さい時に入院したからとか、どんなきっかけでも構わないのですが、看護師になろうと決めたからにはそれをやり通す人、なりたいと思う気持ちをずっと持ち続けてくれる人、そんな方に来て欲しいと思います。
松山:分かりました。ありがとうございました。
松山:では看護学科の在校生お2人に来て頂いているので、インタビューをさせて頂きたいと思います。お2人とも1年生で、女性の大石さんと男性の山口さんです。
大石さんは現役生で、山口さんは社会人から看護学校に入ったということですね。
山口さんは前職ではどのようなお仕事をされていましたか。
山口さん:前職は学校給食で調理師をしていました。
松山:なぜ転職を決意して、看護師になろうと思われたのですか。
山口さん:1年前の冬頃に祖父がなくなりまして、その際に色々苦しむ姿を見ていまして、看護師である母からの勧めもあって、色々考えた結果看護師を目指すことを決意しました。
松山:実際にお2人、学校に入学して半年くらい経っていると思いますが、学生生活はどうですか。
山口さん:正直、大変です(笑)やることが多いですし、課題も多いのですが、それでももう一度学べるというのは楽しいです。
松山:実際に学生生活のリズムやスケジュールはどんな感じですか。特に家帰ってからの課題とか自習等はどうですか。
山口さん:大体学校終わるのが、4時半くらいで、帰ってからご飯食べたりゆっくりして、寝る前に1時間ほど勉強する感じです。
時期によって、課題が重なるともう少し家でやることが多くなります。
松山:大石さんはどうですか。
大石さん:色んな教科があるので、図書室で残ってやったりとか、課題等は社会人の方とかグループで教え合いながら頑張っています。
松山:なるほど。社会人の方がフォローしてくれたりとかそういった雰囲気なんですね。先生方のフォローはどうですか。
山口さん:かなり親身になってくれます。例えば、レポートの書き方とかの例を作ってくれたり、ほんとにそこまでやってくれるのかというくらいフォローしてくれます。
田中:逆にこういうところが面白いというところはありますか。
大石さん:実習室の練習とかがわくわくします。なんか楽しいです。看護師に対して憧れている気持ちがあるので、実際の病院の器具とかそういったものを見ているだけでモチベーションが上がっています。
山口さん:解剖学という授業があるんですが、本当に複雑で覚えることがたくさんあって大変です。しかし、先生の教え方が本当に上手で分かりやすく、逆に覚えるのが楽しいと思えるようになりました。
松山:受験時に戻るのですが、なぜこちらの学校に入ろうと思ったのですか。
大石さん:オープンキャンパスで私が1人で来ていて不安だったんですけど、先生が話しかけてくれて、質問もたくさんしたんですけど、全部丁寧に答えてくれたんです。とにかく先生が同じ目線で話してくれたことが嬉しくて、この学校だと私もやっていけるかなと思って選びました。
山口さん:一番の理由は家から近いからです(笑)
またここの付属の病院で入院したころや母もこの病院で働いていたこともあったので、ここに決めました。
田中:最後に、受験生に向けてメッセージをお願いします。
山口さん:受験は大変しんどいと思いますが、入学したらその分楽しいので、受かったら楽しい学校生活が待っているので、頑張ってください。
大石さん:私はこの学校に来て、先生や友達に恵まれました。みんな来たら絶対に楽しいし、理想の看護師さんになれると思うので、ぜひ来てください。
松山:ありがとうございました。
松山:副校長の青木先生と准看護学科の教務主任の末廣先生のインタビューをさせて頂きます。准看護学科は奈良県で唯一貴校だけだと思うのですが、看護師と准看護師の資格の違いについてお伺いしてもよいでしょうか。
末廣先生:はい。看護師は国家資格です。准看護師の資格は都道府県の免許です。都道府県の免許なのですが、日本全国どこでも働けるものとなっております。
准看護師は、現状患者様への指導はできないとか、リーダー業務として看護学生の指導もできないといったことになっております。いわゆる実務ナースとして患者様のそばでお世話をする仕事になります。
松山:給与面に違いはありますでしょうか。
末廣先生:そうですね。看護師と准看護師では基本給に違いがあります。
松山:貴校では准看護師の資格を取得されてから、看護師資格にチャレンジする方はいらっしゃいますか。
末廣先生:本校では、40名のうち、10名~15名、多い年で20名ほど看護師資格を取得する為に進学されています。
進学先は、高等学校の卒業資格がある場合、2年間の進学コース、3年間かけて働きながら学ぶコース、短期大学での2年間コースなどがあります。
就職後7年実務経験があると、通信制の進学コースに進むこともできます。
松山:貴校の准看護学科では、何歳くらいの方が多いですか。
末廣先生:平均年齢は30歳程度です。これは平成28年度のデータですが、18歳~19歳の方が7,5%、20代が27%、30代が50%くらい、40代が17%
一番年齢が高い方は47歳の方もいらっしゃいます。
田中:社会的に見ても、准看護師は重要な役割を担っているということでしょうか。
末廣先生:私が35年くらい前から、ずっと准看護師の資格は将来なくなると言われ続けてきました。
ここに来て国としては、准看護師の役割を重要視しています。2年間で専門職医療人を育成する准看護学科のカリキュラムの中でも、在宅看護を加えたりなどカリキュラムを変えながら存続する方向性になっております。
松山:貴校の准看護学科では、どのような学生に来て頂きたいと思いますか。
末廣先生:人生を掛けてこられる方が多いので、こちらも一生懸命応援したいと常々考えております。
良い看護師さんになって欲しいです。人の気持ちが分かる看護師になって欲しい。
まずは実務ナースとして患者さんのそばにいる准看護師を育てたいので、基礎看護技術を完結したい。
患者さんにとって、気持ちのいい、安全で安楽な技術を身に着けてもらいたい。
講義とか教科以外の学習も重要だと考えています。
隣のこぐま園での夏祭りがあると参加させて頂いて、副校長を先頭にフラダンスを踊ったり(笑)
それをしながら、自分の役割をみんなが感じていくわけですね。
お友達と約束していたけれども、自分が参加できなかったらどうしたらよいかとか、授業では学べないことをそういった行事を通して学んでくれていると思います。
ですので、そういった人の気持ちが分かる、人の痛みに気付ける准看護師さんになってもらえるような教育がしたいので、それに付いてきてくれる人に来て欲しい、来てくれたら嬉しいなと思います。
田中:最後に貴校の特色についてお伺いできますか。
青木先生:本校の特色は、少人数制で担任制を取っておりますので、何か困ったことがあれば何でも相談できるというところです。
見てください、この目の前のすごく広い駐車場、これは学生さんも利用できます。またスクールバスも四條畷駅、生駒駅から出ております。
お隣の保育園も病児保育もありますし、お子さんいらっしゃる学生さんも利用されております。
あとパン屋さん、焼き立てのパンが学校に売りに来てくれる、これが安くて美味しいんです(笑)
田中:先生方のアットホームな雰囲気が伝わってきますね。ありがとうございました。
松山:准看護学科の在校生お2人に来て頂いているので、インタビューをさせて頂きたいと思います。お2人とも1年生で、女性の福田さんと男性のさんです。
お2人とも社会人から准看護学校に入ったということですね。
准看護学科の学生さんは働きながら通われている方が多いと思うのですが、実際はどうですか。
福田さん:私は週4~5日アルバイトをしております。
田中さん:僕は無職です(笑)学生に専念しております。
松山:もともとお2人はどういった仕事をされていたのですか。
福田さん:高齢者が住んでいる住宅の経理や事務の仕事に携わっていました。
田中さん:僕は自衛官を2年間やっていました。
松山:お2人はなぜ准看護学科を選ばれたのですか。
福田さん:本音でも良いですか(笑)正直、正看だと受験科目も増えますし、早く資格を取って働きたいということもあり、2年制である准看護学科を志望しました。
田中さん:自分は正看受けて落ちたので(笑)勉強大嫌いなので、全然勉強してこなかったので(笑)
松山:入試の時の面接はどうでしたか。
福田さん:最初は先生方が5人ずらーっと並んでおられたのですごく緊張しましたが、話し出すと面接という感じではなく話しやすい雰囲気でした。また青木先生の天使のような笑顔がすごく癒されました(笑)
松山:先生方がすごくフレンドリーな感じですもんね。お2人ともどのようなことを面接では聞かれましたか。
福田さん:前職は何をしていたか、家族構成、なぜ看護師を目指したのかの3つでした。
田中さん:生活リズムの話が出たんですけれども、僕高校生の時とはめちゃくちゃな生活リズムやったので、自分律していけるのかを突っ込まれました。僕はできるかできないかより、社会人として律していかないといけないと思ってますと言いました。
松山:お2人とも試験の対策はどうされていたのですか。
福田さん:私は4月から予備校に通って、毎日仕事前に1時間、2時間勉強するという感じでした。もう分数の足し算や掛け算から忘れているというレベルだったんですけど、受験直前にようやく自信が付いてきて無事受からせてもらいました(笑)
田中さん:僕は独学だったのですが、はじめは正看を目指していたので、高校生のときにやっていたチャート式という参考書をやっていました。
あと作文の書き方も高校の時に使っていたテキストをパラパラと見ていました。
松山:実際学校のスケジュールってどういったスケジュールですか。
福田さん:月曜日と金曜日が昼から、水木が9時からなんですけど、それ以外にバイトを入れています。
田中:次、受験される方に応援メッセージをお願いします。
福田さん:受験勉強はめげそうになることもありますが、とにかく学校入学目指して頑張ってください。
田中さん:面接大事だと思うので、話せるようにしておいてください。
松山:ありがとうございました。